家探しを始めると、よく出てくるのが『家は年収の何倍までなら買っていい?』という疑問です。
結論から言うと、年収倍率だけで決めるのは危険ですが、住宅ローンを35年で組む一般的なケースなら、まずは世帯年収の5倍前後を基準にし、6倍を超えたら家計を細かく確認、7倍前後は慎重に判断するのが現実的です。
特に共働き夫婦は、現在の世帯年収を100%使って予算を決めると、育休・時短勤務・転職・病気などで収入が落ちたときに一気に苦しくなります。
・4〜5倍:比較的余裕を作りやすい
・5〜6倍:現実的だが、教育費や車など他の支出も確認
・6〜7倍:返済額だけでなく金利上昇・収入減の検証が必要
・7倍超:『借りられる』としても『無理なく返せる』とは限らない
・共働きは、夫婦の年収合計だけでなく片方の収入が落ちたケースでも確認する
そもそも「年収の何倍」とは?
年収倍率は、住宅価格や住宅ローン借入額を年収で割って考える簡単な目安です。
たとえば世帯年収700万円で3,500万円を借りるなら5倍、4,200万円なら6倍、4,900万円なら7倍です。
ただし同じ6倍でも、金利1%と2%、返済期間30年と40年では毎月返済額が変わります。さらに固定資産税、火災保険、修繕費、車、教育費などは年収倍率に表れません。
そのため、年収倍率は入口として使い、最終判断は返済負担率と家計の余力で行うのが基本です。
銀行が貸せる額と、家計が返せる額は別
住宅金融支援機構の基準では、総返済負担率について年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下という基準が示されています。ここには住宅ローンだけでなく、自動車ローンや教育ローン、カードローンなども含まれます。
しかし、これはあくまで融資基準の一つです。35%まで借りられるからといって、35%まで使うのが安全という意味ではありません。
住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)」では、実際の利用者の返済負担率は15%超〜20%以内が26.2%で最も多いという結果でした。
つまり、審査上の上限と実際の利用者が選んでいる返済水準にはかなり差があります。
年収4倍・5倍・6倍・7倍で返済負担率はどう変わる?
金利1.5%、35年返済、元利均等、ボーナス返済なしで単純計算すると、住宅ローン返済額が年収に占める割合はおおよそ次のようになります。
| 借入額 | 返済負担率の目安 | 判断 |
|---|---|---|
| 年収の4倍 | 約14.7% | 余力を残しやすい |
| 年収の5倍 | 約18.4% | 一つの基準にしやすい |
| 年収の6倍 | 約22.0% | 他の固定費を要確認 |
| 年収の7倍 | 約25.7% | 収入減・金利上昇に注意 |
さらに同じ条件で金利を2.5%まで上げて試算すると、5倍で約21.4%、6倍で約25.7%、7倍では約30.0%まで上がります。
変動金利を選ぶ場合は、現在の返済額だけでなく、金利が1%程度上がった場合でも払えるかを確認しておくべきです。
結論:家を買うなら年収5倍前後を基準にする
住宅価格が上がっているため、実際には年収6倍以上の住宅を選ぶケースも珍しくありません。ただし、家計の安全性だけで見れば、5倍前後から検討を始めるほうが余裕を残しやすくなります。
6倍を超えたら「買えない」のではなく、条件付きで検討するゾーンです。貯蓄額、子どもの予定、車の買い替え、退職年齢、夫婦それぞれの働き方まで含めて判断する必要があります。
7倍前後になると、現在の収入が続く前提では払えても、収入減や金利上昇が重なると家計が急に厳しくなるため、慎重な確認が必要です。
共働き夫婦は「世帯年収×5倍」でそのまま考えない
夫500万円、妻300万円で世帯年収800万円なら、単純な5倍は4,000万円、6倍は4,800万円、7倍は5,600万円です。
しかし子どもが生まれ、妻の年収が一時的に150万円まで下がると、世帯年収は650万円になります。この状態で4,000万円を借りていれば年収倍率は約6.2倍、4,800万円なら約7.4倍です。
共働きの場合は、現在の合計年収だけでなく、次の3パターンで確認すると安全性が見えやすくなります。
- 通常時:夫婦とも現在の収入
- 収入減時:片方の収入を30〜50%下げる
- 最悪時:一定期間、片方の収入だけでも返済できるか確認する
すべてを片働き前提にすると住宅予算が小さくなりすぎる場合もあります。重要なのは、収入が下がった瞬間に家計が赤字になる借り方を避けることです。
ペアローン・収入合算は便利だが、借入上限を上げるためだけに使わない
住宅金融支援機構の2026年1月調査では、ペアローンまたは収入合算を利用した人は38.7%でした。特に若い世代ほど利用割合が高くなっています。
共働きなら大きな予算を組みやすい一方、夫婦2人分の収入が長期間続く前提で借りすぎると、育休・時短・転職・離職に弱くなります。
ペアローンを使うかどうかよりも、ペアローンを使わないと買えない価格帯まで予算を上げていないかを確認することが重要です。
住宅予算を決める前に確認したい5つのリスク
1.子どもが生まれた後の収入
育休だけでなく、復職後の時短勤務や保育料、習い事なども家計に影響します。現在のDINKs家計をそのまま35年間続ける前提は危険です。
2.金利上昇
変動金利なら、現在の金利だけでなく1%程度上昇した場合も試算します。返済額が増えても積立や貯蓄を続けられるかまで確認します。
3.車や教育ローン
住宅ローン以外の借入れも毎月の固定費です。車が必須の地域では、住宅だけに返済余力を使い切らないことが重要です。
4.購入後の維持費
持ち家では固定資産税、火災・地震保険、設備交換、外壁や屋根などの修繕費が発生します。住宅ローン返済額だけで賃貸の家賃と比較すると見誤ります。
5.手元資金を使い切らない
頭金を多く入れて借入額を減らしても、購入直後の現金がほぼゼロになれば別のリスクが生まれます。引っ越し、家具家電、車検、出産などが重なっても対応できる現金を残しておく必要があります。
年収別のざっくり住宅ローン目安
| 世帯年収 | 5倍 | 6倍 | 7倍 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 2,500万円 | 3,000万円 | 3,500万円 |
| 600万円 | 3,000万円 | 3,600万円 | 4,200万円 |
| 700万円 | 3,500万円 | 4,200万円 | 4,900万円 |
| 800万円 | 4,000万円 | 4,800万円 | 5,600万円 |
| 900万円 | 4,500万円 | 5,400万円 | 6,300万円 |
| 1,000万円 | 5,000万円 | 6,000万円 | 7,000万円 |
この表は「ここまで借りてよい」という意味ではありません。5倍を基準点として、家計によって上下させるための比較表です。
最終判断は「何倍か」より、買った後に何が残るか
住宅ローンで最も避けたいのは、審査に通る最大額まで借り、住宅購入後に貯蓄や投資、旅行、車、教育などに使えるお金がほとんど残らなくなることです。
年収倍率で迷ったら、まず5倍前後を基準にし、6倍を超える場合は収入減と金利上昇を同時に入れた家計でも耐えられるか確認してください。
住宅ローンの「借りられる額」と「無理なく返せる額」の違いは、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【2026年版】住宅ローンはいくらまで借りていい?借りられる額と無理なく返せる額の違いを徹底解説
返済期間を何年にするか迷っている方は、年齢別に35年・40年・50年ローンを比較したこちらも参考にしてください。
【2026年版】住宅ローンは何年で組む?年齢別のおすすめ返済期間|35年・40年・50年ローンを徹底比較
一次情報・参考資料
- 住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)」
https://www.jhf.go.jp/files/topics/4955_ext_99_2.pdf - 住宅金融支援機構「財形住宅融資(建設・購入)利用条件」
https://www.jhf.go.jp/kojin/zaikei/jouken.html - 住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」
https://www.jhf.go.jp/about/research/loan/flat35/
※本記事の年収倍率・返済負担率のシミュレーションは一定条件による概算です。実際の借入可能額・返済額は金利、返済期間、年齢、他の借入れ、金融機関の審査条件などで異なります。





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