住宅ローンを考え始めると、多くの人が最初に気になるのが『自分はいくらまで借りられるのか』という点です。
ただし、家選びで本当に重要なのは『銀行が貸してくれる上限』ではなく、家を買った後も生活に余裕を残して返せる金額です。借入可能額いっぱいまで使うと、固定資産税、修繕、教育費、車、旅行、老後資金などにしわ寄せが出る可能性があります。
この記事では、住宅ローンの借入額を決めるときの考え方、返済負担率の見方、金利による毎月返済額の違い、家計から逆算する方法まで徹底解説します。
『家は年収の何倍まで?』『共働きなら夫婦の年収をそのまま合算していい?』を先に確認したい方は、家を買うなら年収の何倍まで?共働き夫婦の住宅予算を徹底解説も参考にしてください。
結論:住宅ローンは『年収の何倍』だけで決めない
住宅価格を決めるときに『年収の5倍』『年収の7倍』といった目安を見ることがありますが、同じ年収でも家庭によって使えるお金は大きく違います。
- 子どもの人数
- 車の保有台数
- 奨学金・車ローンなど他の借入
- 共働きを何年続けるか
- 毎月の生活費
- 貯蓄・NISAなど資産形成を続けるか
- 固定資産税や修繕費
そのため、住宅ローンは年収倍率より『毎月いくらなら無理なく払い続けられるか』から逆算するほうが現実的です。
『借りられる額』と『返せる額』は別
金融機関の審査では、年収、勤務状況、他の借入、年齢、返済期間、信用情報、物件条件などを見て融資可能額を判断します。
一方、金融機関はあなたの将来の旅行費、子どもの習い事、車の買い替え、趣味、老後資金まで細かく把握して住宅ローン上限を決めるわけではありません。
つまり、審査に通った金額=安心して返せる金額ではありません。
返済負担率とは?
返済負担率とは、年収に対して年間のローン返済額がどの程度を占めるかを見る指標です。
住宅金融支援機構のフラット35では、年収400万円未満は総返済負担率30%以下、年収400万円以上は35%以下という基準があります。ここには住宅ローンだけでなく、自動車ローン、教育ローン、カードローン、分割払いなどの返済も含まれます。
ただし、これはあくまで融資条件の一つです。基準内なら家計に余裕があるという意味ではありません。
毎月返済額は金利で大きく変わる
同じ借入額でも金利が違えば、毎月の返済額は大きく変わります。
例として、35年・元利均等・ボーナス払いなしで単純試算すると次のようになります。
| 借入額 | 金利1.0% | 金利2.0% | 金利3.46% |
|---|---|---|---|
| 2,500万円 | 約7.1万円 | 約8.3万円 | 約10.3万円 |
| 3,000万円 | 約8.5万円 | 約9.9万円 | 約12.3万円 |
| 3,500万円 | 約9.9万円 | 約11.6万円 | 約14.4万円 |
| 4,000万円 | 約11.3万円 | 約13.3万円 | 約16.4万円 |
| 4,500万円 | 約12.7万円 | 約14.9万円 | 約18.5万円 |
※概算です。実際の返済額は金融機関、金利タイプ、返済方法、団信、手数料などで異なります。
2026年9月のフラット35では、21年以上35年以下・融資率9割以下・新機構団信付きの最頻金利は年3.46%です。金利引下げ制度の対象になる場合は一定期間引き下げられることがあります。
住宅ローンは『今の家賃』だけで考えない
よくある考え方が『今の家賃が9万円だから、住宅ローンも9万円なら大丈夫』というものです。
しかし持ち家では、住宅ローン以外にも次の費用が発生します。
- 固定資産税・都市計画税
- 火災保険・地震保険
- 外壁・屋根・給湯器などの修繕
- 庭・外構の維持費
- マンションなら管理費・修繕積立金・駐車場代
戸建てでも修繕費を毎月積み立てておく必要があります。住宅ローン返済額だけで家賃と比較すると、購入後に家計が苦しくなりやすくなります。
無理なく返せる額を出す5ステップ
1. 毎月の手取り収入を確認する
額面年収ではなく、まず実際に口座へ入る手取り額を基準にします。共働きの場合も、育休、時短勤務、転職などで一時的に収入が減る可能性まで考えます。
2. 住宅購入後も続けたい支出を引く
食費、通信費、車、保険、教育費、旅行、趣味、NISAなど、家を買った後も続けたい生活を先に残します。
住宅ローンのためにすべてを削る前提にすると、35年という長期間では続きにくくなります。
3. 固定資産税・修繕費を月額換算する
年払いの費用も月額に直して考えると分かりやすくなります。
たとえば固定資産税・保険・修繕積立として年間30万円を見込むなら、住宅ローンとは別に月2.5万円程度を住宅費として確保する考え方です。
4. 収入が一時的に減っても払えるか確認する
共働きで住宅ローンを組む場合は、どちらかが育休・時短・退職になった場合の家計も試算しておきましょう。
『二人ともフルタイムで働き続けないと払えない』金額は、長期ローンとしては余裕が小さくなります。
5. 金利が上がった場合も試算する
変動金利を選ぶ場合、現在の返済額だけでなく、金利が1%・2%上がった場合の返済余力も確認します。
固定金利の場合も、変動より当初金利が高いことがあるため、総返済額と安心感を比較しましょう。
頭金は入れれば入れるほどいい?
頭金を増やせば借入額が減り、毎月返済や利息負担を抑えられます。ただし、手元資金を使い切るのは危険です。
家を買った直後は、引っ越し、家具、家電、エアコン、カーテン、外構、登記、保険などまとまった支出が発生します。
頭金を入れた結果、生活防衛資金がほとんど残らないなら入れすぎと考えるべきです。
ボーナス払いは慎重に
ボーナス払いを使えば毎月返済額を小さく見せられますが、賞与は将来も同額が保証されるとは限りません。
できるだけ毎月返済だけで無理なく払える範囲にし、ボーナスは繰上返済や貯蓄に回せる余裕を残すほうが安全です。
ペアローン・収入合算で借入額を増やすときの注意
共働き世帯では、ペアローンや収入合算によって借入可能額を増やせる場合があります。
ただし、借りられる額が増えるほど必ず良いわけではありません。出産・育児・介護・転職などでどちらかの収入が減っても返済できるかを確認してください。
特に『二人の収入を最大まで使わないと買えない家』は、家計の自由度が小さくなります。
住宅ローン3,000万円と4,000万円では生活の余裕がかなり違う
金利2%・35年返済の単純試算では、3,000万円の毎月返済は約9.9万円、4,000万円なら約13.3万円です。
差は月約3.3万円、年間では約40万円。35年間続けば、生活に与える影響は非常に大きくなります。
家のグレードを上げる1000万円が本当に必要なのか、それとも毎月3万円以上を旅行・教育・投資・車・貯蓄へ回したほうが満足度が高いのかを比較する価値があります。
家を決める前に事前審査をしておく
無理なく返せる予算が決まったら、住宅ローンの事前審査で実際の借入可能性を確認します。
【2026年版】住宅ローンの事前審査で落ちる理由7選|申し込む前にやること・通りやすくする対策
変動金利と固定金利も比較する
同じ借入額でも金利タイプによって返済計画は大きく変わります。金利の低さだけでなく、上昇リスクと家計の余裕を合わせて考えましょう。
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予算以外にも、土地・住宅性能・災害リスク・建売と注文住宅の比較など、購入前に決めることは多くあります。
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モノベルプラスのひとこと
住宅ローンは『いくら借りられるか』を競うものではありません。
家を買った後も、貯金できる・遊びに行ける・急な出費に対応できる。その状態を残せる金額が、その家庭にとっての本当の予算です。
先に毎月の安全な返済額を決め、その範囲で建売・注文住宅・中古住宅を比較すると、物件選びでブレにくくなります。





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